最大瞬間風速

好きなようにあれやこれ

神聖な五角形を巡るあれやこれ

最近の将棋ブームの影響か、専門誌以外に棋界が取り上げられる機会*1が増えているらしく、ちょっと興味深い記事/雑誌をぱらぱら読んでみている。

昨年のABC座も将棋を取り扱っていたし、黒丸桂馬担にはもしかしたら常識なのかもしれないのですが、自分の備忘録として。

 

 

★いわゆるコンピューター将棋ソフトについて

weekly.ascii.jp

将棋ソフトはどうやって”強く”できるのか、ということがよくわかる記事でした。

記事掲載元がパソコン雑誌の週刊アスキーなので、やや専門用語が多いですが見かけよりは読みやすいです。

私が特に印象的だったのはこの部分。

――電王戦の記者会見で、「コンピューター将棋はバランスをとって指している」と言うのを聞いて、合点がいきましたね。▲6八金右と寄ったとたん、すべてのコンピューターの評価値が一気に下がりましたから。

山本氏:まず言えることは、人間はそのへんの機微はあまりわからないんです。コンピューターはわかっているみたいで、(我々には)見えていないものが見えています。我々にはほとんど、少なくともコンピューター将棋を触れる以前の人類には、わからなかった機微を理解しています。 

 ちょっと前に独自言語を会話する人工知能(それ自体はフェイクニュース(というか誤訳)だったようですが*2)が話題になりましたが、やっぱり人間とは違う理屈で動くものたちを見ると、翻って人間の特異性が浮き彫りになるよなぁ。

 

棋士の話

とりあえず買っていた別冊Quick Japan、今ようやく半分くらいだけれどめっちゃ面白い。

www.ohtabooks.com

 

レジェンド棋士スーパースター列伝、一人あたり1ページなのにものすごい読み応えあります。

羽海野チカ先生のインタビューが面白いのは勿論、結構現役棋士たちのインタビューも多くて(バーを経営している棋士、なんて方も出てきます)、私は3月のライオンを読んでも観てもいないのだけれどぐんぐん読みふけってしまう。

 

 

そして、ユリイカ加藤一二三特集もすごい。

青土社 ||ユリイカ:ユリイカ2017年7月号 特集=加藤一二三

ついこないだこの特集の存在を知ったので、本屋で探し出すの苦労したんですが(なぜか将棋専門誌と一緒に並んでいた)まー面白い。

まず特集の一番最初に据えられているご本人のインタビューがすごい。時節柄藤井四段の話が多めですが、彼を評する言葉が、けなすでも持ち上げるでもなく、まっすぐ。

あと藤井四段との奇妙な巡り合わせについての話も。

実を言うと、私が十段を獲得したときに書いたことばが「大志」なんですよ。藤井少年は一五歳、私は三〇歳で「大志」と書いている。いやあ、なかなかおもしろいでしょう。ー(中略)ー私は昭和四四年に大志と書いて、それ以来書いたことがない。それが今日*3、藤井さんが大志と書いたから目を瞠りました。*4

不勉強なので、加藤一二三さんが「棒銀」にこだわりつづけた(ている)棋士だということを初めて知ったのですが、他の棋士や棋界関係者の方々のインタビューにも必ずと言っていいほど出てきていてかなり有名な様子。

棒銀と加藤九段の関係については森内九段のインタビューより。

棒銀は流行った時期もありますが、いまは一般的に効率の悪い戦法というふうに思われていて、棒銀を使う人はすくなくなっています。しかし、加藤先生は「棒銀は良い戦法である」という信念をお持ちで、ー(中略)ーとはいえ、あれだけ同じカタチを何百局と繰り返し刺されても、随所に新しい工夫が施されていて、そのひらめきは誰にも真似出来ないものだと思います。*5

いい加減引用が多いのでざっくりまとめますが、加藤九段のプレイスタイルは序盤の長考にはじまる重厚で力強いものだそうで、それは引退まで変わらず、とにかくスタミナが半端じゃないらしいです。黒丸桂馬役の中の人のようだ…

 

他にも色々興味深い話が書いてあるんですが、圧倒的に時間が足りない!コンサートにもぱりぴ橋本くんにも会えないのにおかしいのう…

こうして積ん読が増えていくんだよな…社会人、世知辛い生き物…

 

 

 

 

 

 

*1:だじゃれじゃないよ

*2:その辺についてはこの記事あたりが参考になります。www.netlorechase.net

*3:取材日は藤井四段初の公式グッズとなる直筆の言葉入り扇子が発売された日

*4:ユリイカ7月号 p60

*5:同 p107