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塩がなくては祭りにならぬ〜舞台『阿呆浪士』感想〜

2019年にいろいろなものを置き去りにしていますが、ひとまず新年明けましておめでとうございます!

新年一発目、阿呆浪士の感想です。めーっちゃ楽しかった勢いで書くのでがっつりネタバレます、たたみます。




あらすじを読んで、どうしても塚ちゃんのサクラパパオーを思い出してしまい(おんなじパルコプロ×ラッパ屋だしね…)、そういう集団幻想みたいな話なのかなーと観劇前は考えてたんですが。わりと真逆ですね。
そもそも内蔵助の台詞にもありましたが討ち入りの理由がみんな違う。定番の忠臣、ままならない身分制度への怒り、行き場のない衷心の発露、肝心の内蔵助は主君ではなく親しかった友人への仇討ちとして吉良邸へ。それで良いのか、を突き通す理由だけが皆同じで《阿呆》。

『阿呆が阿呆の神様のもとに起こす祭り』

これを聞いて、ペンライトうちわ演出もすっと懐に落ちました。そりゃ振るよね、祭りだもの。踊る阿呆に見る阿呆、ってな。(※そんなに演者踊ってないです念の為)

いろいろうろ覚えの話ですが、だんじりだとか三社祭だとかに見られるように、祭りってなかなか危険な風習が多くて、そこで死ぬのも名誉、みたいなことがあったと聞きます。なので討ち入りもひょっとするとそんな感じもあったのかな〜なんてことも(まあそんなことはさすがにないですけどねたぶん笑)思いました。

こう、書こうとするとどうしても月並みな言葉ばっかり出てくるんですけど、ゲラゲラ笑うような面白さだけでなく、悩んだり怖がったりの人間のままならなさが、赤穂の塩みたいに効いていて、さらに笑いを誘われたように思います。

いろいろ風刺的なこと、やたら煽り立てる瓦版屋だとか責任を乗せようとする人々だとかあった気がするんですけど、全体的には浪曲・落語・歌舞伎的要素がちょっとずつまぶされた重箱みたいな舞台で、私にとってはどれもくどすぎず、重くなりそうなときに適度に笑いでほぐしてくれる気楽に観られてよかったです。

またまとまったら書きに来るかもしれませんが。ひとまずここで。

見る阿呆!